アホウドリ
コアホウドリ Diomedea immutabilis と
クロアシアホウドリDiomedea nigripes
アホウドリの人工繁殖地形成事業が脚光を浴びています。小笠原には、このほかにコアホウドリ、クロアシアホウドリが繁殖しています。2000年代初頭における両種の繁殖規模は、それぞれ約20組と数百組程度です。北太平洋に広く分布する両種ですが、西側では小笠原が唯一のコアホウドリの繁殖地となっています。 |
●生態 | |
ともに翼を拡げると2mにもなる大型海鳥です。毎年秋10〜11月に飛来して、地上に簡単な巣をつくり、翌春までヒナを育てます。ペアリングのときには、独特のダンスを踊ります。洋上では長い翼を利用してグライダー飛行を行い、長距離を高速で移動します。 |
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●アホウドリ類の歴史と今 | |
北太平洋に生息するアホウドリ類3種(アホウドリ、コアホウドリ、クロアシアホウドリ)は、1800年代末から1900年代初期に羽毛を採るために乱獲され、絶滅の危機にさらされながらも、かろうじて現在まで生き延びてきました。小笠原(聟島列島や西之島)も、かつてはアホウドリやクロアシアホウドリの大繁殖地でした。しかし、アホウドリ1種だけでも数十万羽が捕獲され、ついに1930年代には小笠原諸島から両種の繁殖地が消滅しました。1970年代になると、聟島列島でクロアシアホウドリ(復活)と、コアホウドリ(新規)の繁殖が確認されました。1990年代からは複数羽のアホウドリが目撃されるようになり、この実績が、現在のアホウドリ人工繁殖地形成プロジェクトにつながっています。 |
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●IBOのとりくみ | |
当研究所では、2000年より小笠原のコアホウドリ、クロアシアホウドリの調査を開始しました。とくに、両種の繁殖地回帰率や生残率などの基礎的情報を調べるために、カラーリングの装着調査(小笠原支庁による標識調査と協働)を継続しています。また、両種の分布拡大等のモニタリングを行っています。 |