2018年

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父島南崎のカツオドリの親子

父島列島でカツオドリの営巣地は、南島とその周辺にある岩礁に限られていましたが、数年前から海のガイドさんに「父島南崎でカツオドリを見かける」という話を聞いていました。父島南崎は、現在許可なく立ち入ることができない場所ですが、2016年、東京都のレンジャーにより少数の営巣が確認されたことから、昨日現地調査に行ってきました。カツオドリのヒナ9羽が確認され、母島南崎に続き、有人島の父島でも島の先端部で海鳥が営巣できる環境が復元してきていることが分かりました。ネコ対策の効果がここでも表れているようです。

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写真提供;大林隆司さん

母島・南崎で最初に捕獲されたネコ「マイケル」の時代から、2008年の国際ワークショップを経てスタートした“小笠原ネコプロジェクト”の10年を書いた『小笠原が救った鳥』。この本の出版を記念した会が、6月28日横浜の NPO法人よこはま里山研究所の「はまどま」で、6月30日には東京飯田橋の「絵本屋カフェ・ボローニャ」で開催されました。参加者は小笠原をフィールドにもつ大学や研究機関の先生方や東京都獣医師会の獣医師、小笠原で暮らし自然保護や研究に携わったことのある方、小笠原ネコの飼い主さん、小笠原をよく知る方や興味を持っている方などが小さな会場いっぱいに集まりました。当研究所のスタッフもゲストとして参加し、ネコプロジェクトの最近の情報や、アカガシラカラスバトや小笠原で暮らす動物についての話をしました。この本を通じて、小笠原の取り組みがもっと知られていくといいなと思います。

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― 小笠原ネコを引き受けていただいた里親さんから、新しい生活の様子が届きましたのでご紹介します ―
島ネコNo.714【おがちゃん】(母島評議平出身)
そろそろうちに来て1年が経ちます。一度だけ、食欲不振になった以外は、健康に過ごしてくれています。食欲がいつも旺盛で、困るくらいですが、寝転んでいるとお腹でフミフミしにきたり、名前を読んだら返事をくれたり、懐いてくれてもう我が家には欠かせない存在です。お行儀もほーんとに良くて、そそうは一度も無く、良い子過ぎる、、と思っています。
今月、我が家に第一子が生まれ、彼もお兄さんになりました。赤ちゃんにも過敏に反応せず、しっかり受け入れてくれています。これから、子どもとおがが、良い友達になってくれればと思います。

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― 小笠原ネコを引き受けていただいた里親さんから、新しい生活の様子が届きましたのでご紹介します ―
島ネコNo.502【空ちゃん】(母島猪熊谷出身)
ウチの空も6月24日で丸3年経ちました。今では、ウチの立派な家族の一員です。うちのワンコとも、仲良く?!喧嘩しながら暮らしています。今朝も爪を切らせてくれました。切っている間も観念したのか?大人しくしていましたよ。相変わらず、顔は小さい感じですが、もう3歳(推定)です。これからも、ずぅーと家族です。

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ネコの飼い方講習会

山で捕獲されたネコは内地の動物病院を経て飼い主に譲渡されるため、小笠原でこれらのネコを飼いたい場合は、内地に引き取りに行く必要がありました。数年前、小笠原ネコプロジェクトを進めている「小笠原ネコに関する連絡会議」では、野生動物とネコとの出会いを避けるため、ネコの室内飼養を条件に、島内の希望者への譲渡を行っていましたが、引き取り手が飽和状態になったこと、室内飼養が徹底できなかったケースが出てしまったため、この取組を休止していました。昨年4月から、小笠原世界遺産センター内の動物対処室に獣医師が常駐したことで適正飼養指導をきちんと行える体制が整ったため、島内でのネコの譲渡を再開しました。今回、譲渡の対象となったのは、3月22日にねこまちで産まれた3匹の子ネコ。希望者は、書類審査、自宅訪問と面接、ネコの飼い方講習会を受講し、ネコを迎えました。