2020年

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日本で最も絶滅の危険性が高い鳥のひとつである「オガサワラカワラヒワ」を守るため、オガサワラカワラヒワ保全計画作りワークショップ本大会が去る12月19日に開催されました。コロナ禍での開催となったため、関係者が現地に集まって議論することは出来ませんでしたが、地域住民、保全に取り組む専門家、自然環境保全に関わるNGOやNPO、行政関係機関など96名が参加しオンライン形式での開催となりました。域内保全・域外保全・共生社会のグループに分かれ、絶滅回避のための具体的なアクションプランが話し合われました。カワラヒワが利用する母島南部地域でのノネコの低密度化も重要課題の一つとしてあげられ、対応の強化が求められています。

https://ogasawara-kawarahiwa.jimdofree.com

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オガサワラカワラヒワのオス  写真:向 哲嗣

オガサワラカワラヒワは小笠原の固有種で、体長14cm、体重18g、雄は頭部の緑色が濃く、雌は褐色みが強い小鳥です。種子食で、種カワラヒワの他の亜種に比べ、体が小さく、くちばしが大きいのが特徴です。戦前は小笠原群島(聟島列島・父島列島・母島列島)と火山列島に広く分布していましたが、現在は母島列島の無人の属島(向島•姉島•妹島•姪島•平島)と南硫黄島でしか繁殖しておらず、個体数はここ20年の間に激減し現在では300個体以下と推定され、絶滅の危険が非常に高くなっています(環境省により絶滅危惧1A類および希少野生動物に指定)。4-6月に繁殖し、6-10月になると母島の集落以南の地域に渡ってきた個体を見ることができます。

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(左)えとちゃん (右)しをんちゃん

― 小笠原ネコを引き受けていただいた里親さんから、新しい生活の様子が届きましたのでご紹介します ―

島ネコNo.991【えとちゃん】(母島南崎出身)

昨年末、No.923の「しをん」の里親になりました。「しをん」が保護された母島の乳房山をどうしても訪ねてみたくて、今年9月、母島まで行ってきました。そこで運命の出会いがありました。「しをん」を保護して頂いた方にもお会いでき、その日、南崎で保護されたという「えと」を見せてもらったのです。

改めて翌日、「ねこ待ち」で再会すると、黒猫で、人懐っこさも「しをん」とそっくりでした。すごく悩みましたが、「えと」の里親になることを決めました。最初は二人が喧嘩ばかりでしたが、動物病院の先生に「小笠原の猫は大丈夫。猫を信じてあげて。」と励まされ、見守る中で徐々に溝がなくなり、今では二人で仲良く遊んでいます。次はぜひ、「えと」の保護された南崎を訪ねてみたいと思っています。

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(左)タクト(右)まなと

現在ねこまちには2匹のオスネコが滞在しています。母島捕獲の「タクト」と父島捕獲の「まなと」です。どちらも3Kgを超えるノネコにしては大きいサイズです。ねこまちではこのサイズのネコの馴化は、あまり刺激せずネコが受け入れてくれるのをじっくり待っています。タクトは警戒心が強く、ねこまちにやって来たばかりの頃は、シャー!と突進しながらの激しい威嚇がみられました。飼養期間が1ヶ月を過ぎた今は威嚇もほとんどみられなくなり、なでなでにも長時間応じるようになりましたが、ノネコのプライドは捨てておらず、ゴロゴロと喉を鳴らすことはありません。これに対し まなとは、ビックリするほど甘えん坊で、飼養開始から4日目には人を受け入れるようになりました。センサーカメラの写真から生後8-9ヶ月程度の個体であることが判明しましたが、とにかく人が大好きで、スリスリ…スリスリ…擦り寄ってきて、顔を近づけてきたり、膝に乗ったり…と甘えてきます。対照的な2匹で楽しくお世話をしてきましたが、明日出港するおがさわら丸で動物病院に行くことになりました。ちょっと寂しくなります…。


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