最新情報

Picture

母島南崎海鳥繁殖地では、オナガミズナギドリ•カツオドリの繁殖期に入っています。この春、海鳥たちの繁殖地をノネコから守るために設置した海鳥保護柵内に黒ネコが頻繁に侵入していることが確認されたため、応急措置を施したうえでセンサーカメラでの監視を続けています。幸いにもここ2ヵ月ほどは海鳥保護柵周辺でのネコの撮影はなく、昨日の作業で今シーズン初めてカツオドリの白い産毛のヒナを観察することが出来ました。この日遠方からの観察で視認できるのは1羽だけでしたが、今日環境省スタッフが母島属島調査の際に海から営巣地を観察したところ、少なくとも4羽のヒナを確認することが出来ました。みんな順調に育ってくれることを願っています。

Picture

ネコ捕獲隊は毎月一回、山中に設置しているセンサーカメラの撮影データを回収し、ネコの動きを確認しています。父島ではおよそ200台、母島ではおよそ100台のカメラデータを担当者が数日かけて解析作業を行い、撮影情報を共有して次のクールの捕獲作業に役立てています。これまで父島では解析データをグループLINEに送り各々が確認していましたが、若手スタッフ3名が加わった今年度はミーティングを行って情報共有を行ない、戦略や戦術の共有も行なっています。

Picture

小笠原ではネコに関するあらゆる問題に島内関係機関が協働して取り組むため、2006年に「小笠原ネコに関する連絡会議(通称;ネコ連)」が結成されました。2016年に「おがさわら人とペットと野生動物が共存する島づくり協議会」が発足後は、協議会の下部組織として名称を「小笠原ネコに関する連絡調整部会」と変更して活動しています。今年度の第1回ネコ連が関係機関である環境省・林野庁・小笠原総合事務所国有林課・東京都環境局・東京都小笠原支庁・小笠原村・動物協議会医療スタッフ・NPO・東京都獣医師会が集まり行われました。現在のネコ対策の状況共有を目的に、ノネコ対策、集落等ネコ対策、保全対象種である野生動物の現状の説明と、現在の課題と取り組み方針について話し合いが行われました。

Picture

ネコの捕獲用のエサは、これまで50種類を超える食材を試してきました。これなら確実にネコが獲れる!というものはなく、広い森のなか捕獲カゴの近くを通過するネコに気づいてもらえるよう匂いの強い食材で、同じような事業を行う他地域の情報も取り入れながら試行錯誤を重ね、現在はメイン10種類くらいにトッピング的なものを加えて使用しています。ネズミなど捕獲を阻害される小動物対策にも配慮しながら、保存が効き、取り扱いが比較的容易なものを選択しています。昨日今日は冷凍保存エサがなくなったため、豚肉・鶏肉・サバの煮込みとパック詰め作業を小雨降るなか行いました。

Picture

ネコの捕獲は、主に金属メッシュの踏み板式カゴ罠を使っています。通年捕獲に切り替えた2010年以降、捕獲ルートを開拓しながら少しずつ台数を増やし、島全体で捕獲を行う父島ではおよそ700台、島の南部地域で捕獲を行う母島では180台のカゴ罠が山中や道路沿いに設置してあります。月に一度チェックを行うセンサーカメラのデータを参考に、ネコの撮影頻度が高いエリアを中心にカゴ罠を稼働させています。プロジェクトの本格稼働から12年が経過し、数年前から山中に設置してあるカゴ罠のバネや踏み板、底面の錆びや穴あきがみられるようになり、バネを特別注文して交換したり、使えなくなったカゴ罠を解体して穴を塞げるよう金属メッシュを適当な大きさにカットして補修しながら使っています。