レスキュー

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写真は聟島周辺を飛ぶコアホウドリ
(保護個体ではありません)

6月のこと、聟島列島で観光クルーズ船の船長さんコアホウドリを保護しました。浜辺に打ち上げられた状況で、かろうじて立っていましたが、極度の栄養失調があり、当研究所に運び込まれてすぐに自力で立てなくなりました。竜骨突起周辺の肉はほとんどなく、傾眠傾向にありました。鳥類に詳しい獣医さん〔内地〕のフォローも頂いてスタッフが懸命なケアを続けましたが、呼吸器系の疾患も併発し、残念ながら野生復帰はかないませんでした。小笠原諸島の聟島列島には、20組ほどのコアホウドリが繁殖しています。現在、アホウドリの人工繁殖地誘致作戦で、大きく脚光を集めている同所ですが、もともとコアホウドリやクロアシアホウドリが繁殖していたことが、誘致作戦を小笠原で行うことの決め手の1つになりました(他の理由:かつてアホウドリの繁殖地であったこと、2000年以来1羽の自然飛来が継続確認されていること、伊豆鳥島と近いこと等)。ところで、この聟島列島のコアホウドリ。日本では唯一と紹介されていますが、実は本種の分布する北太平洋内では、西側唯一の繁殖地となっているのです(メインは東側のハワイ諸島)。IBOでは2002年より聟島列島のコアホウドリとクロアシアホウドリにカラーリングを使った標識調査を続けています。残念ながら保護鳥の野生復帰はかないませんでしたが、小さいながら、とても貴重な小笠原のコアホウドリも大切にしたいものです。

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必ず近くに親鳥がいます

毎年のことですが、6月頃にはヒヨドリやメジロが繁殖し、巣立ち前後のヒナが、地面に落下したり、道路に出たりと騒ぎになります。放っておけば、交通事故やノラネコの餌食。どんどん保護しなきゃいけないのか? というと そうとも言えません。このようなヒナの場合、必ず親鳥が近くにいます。そして 心配して近づいた人のせいで、近くに来られなくなっていることが多い。あばれて巣から飛び出すのは、まさにそのステージに入ったからなのです。こんなヒナを見つけたら、近くの木の枝にとまらせてから、遠ざかること。これが一番です。保護はできても、鳥のルールや餌の採り方を教えることが出来るのは親鳥なのですから。

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その名の通り、見事な黒褐色の体色が美しい。

5月、6月でそれぞれ1羽(計2羽)のセグロミズナギドリが保護されました。戦前の和名をオガサワラミズナギドリと言いますが、戦後は「情報不足」と言われる状況が続いていました。2007年に東島と南硫黄島での繁殖が確認されました。わずかながら、毎年不時鳥が見つかる謎も解けました。春から夏にかけて繁殖し、7月に巣立ちを迎えます。

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巣立ち時期には、一晩にこれだけ落ちてくる時もある

小笠原諸島返還40周年事業のひとつ。描こう母島未来地図に呼んで頂き、2005年から南崎で母島の方々と取り組んでいる南崎の海鳥繁殖地のことや、オナガミズナギドリの巣立ちのお話、また、巣立った幼鳥が、街の灯りに呼ばれて不時着するケースが多いことなどを説明しました。小笠原では すぐ隣にある自然ですが(というか、鳥瞰図として見れば、まさしく大自然の中に私たちも住んでいるのですが・・・)、以外に気がつかないことも多いものです。夜活動する生き物のことは、特に。人工照明で不時着をまねき、それが衝突や、交通事故、ネコに襲われることにつながっているのならば・・・・「電気を減らせば いいのでは!」と骨太な声が上がりました。さすがにウミガメの島(稚亀の時期には局所的なライトダウンの取り組みがあります)。小さな小さな小笠原。共生には「くふう」が必要です。「くふう」につながる第一歩、そう感じた「母島未来地図」でした。

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写真は母島、朝の放鳥風景.
11月30日から12月3日まで母島滞在しており、
母島の保護放鳥をお手伝い.水面を蹴る姿が美しかったです.

2008年12月2日
小笠原は、今年もオナガミズナギドリの巣立ちの時期をむかえました.11月中旬からボチボチとはじまった巣立ち.11月30日から一気にピークを迎えたようです.例年11月後半の連休から12月10日くらいの間で、典型的な冬型の嵐を迎えたその夜から数日間に、爆発的な巣立ちを迎えます.何度もお伝えしているとおり、ミズナギドリは光に集まる習性があり、不時着が相次ぎます.無人島では風を待つか、エッチラオッチラ頑張って海まで歩ければ、無事に自力脱出が可能です.しかし、父島や母島などの有人島では、羽ばたけば地面についてしまう長い翼がじゃまになり、朝までにネコか車と出会うことが必死です.
とにかく 夜に見つけたら ダンボールに回収して海から放鳥します.