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長くおやすみしてしまいました.担当の東京出張が多く,島の情報発信が遅れて申し訳ありません.そんな中で,今日は少し変わったご報告です.先日,東京より戻る船でコアホドリを放鳥しました.このコアホウドリは、2008年11月13日に,横浜市磯子区の路上で発見され、同市内の野毛山動物園に保護収容されておりました.経過も順調で,内陸への迷い込みの再発を防止するために,沖合航路上からの放鳥が計画され,私が父島へ戻る おがさわら丸 での実行されました.この日は,すばらしい晴天&凪でした.竹芝桟橋で,動物園の方から大きなダンボールを預かった後に,伊豆大島の沖合で無事放鳥しました.船の最上部デッキから,フワッと飛び出たコアホウドリは,落下しながら大きな翼を拡げ,海面上の空気を上手につかまえて、水面上を西へ向ました.現在,日本におけるコアホウドリの繁殖地は,小笠原諸島の聟島列島のみです.ここで,わずかに約20ペアが繁殖しています.冬から春にかけて,神奈川から北海道にいたる太平洋沿岸では,コアホウドリがたびたび観察され,実際保護事例も見受けられます.しかし,過去10年ほどのコアホウドリの保護事例からは,小笠原生まれと思われる個体(標識で判断)は見つかっていません.現在小笠原では,巣立ち鳥に足環標識がつけられています.今回,若鳥と判断されたこのコアホウも,小笠原産であるならば足にはリングが見つかるはずなのです.
さあ、そんなわけで、今回の鳥は,毎年太平洋沿岸に出現する出所不明(ハワイ諸島からの遠征軍と想像されますが)の群れからの迷鳥であろうと判断し,小笠原海域ではなく,伊豆諸島海域で放鳥したわけです.

放鳥にかかわった機関:横浜市立野毛山動物園、磯子警察署、小笠原海運〓、小笠原自然文化研究所12Thanks ChikiChiki, Deguchi-san, Yousuke, ARI-chan, Mari-san, Mikami-kun, SUGI-chan, Kotarou, Yui-chan1212

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父島で保護されたセグロミズナギドリを放鳥しました。属島へ調査に行く途中、東島手前の沖で海面に放鳥しました。すると、この鳥は大変に珍しい場面を見せてくれました。海水を飲み、胸を海面に叩きつけて、羽づくろいをする。それを繰り返す。ここまでは、海鳥の放鳥でときおり目にする光景です。しかし、この鳥は、目の前で何度も潜水を見せてくれたのです。

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今年は、小笠原諸島返還40周年です。小笠原自然文化研究所で何かをやっているわけではありませんが、とても沢山のイベントが目白押しです。昨日の盆踊り会場でメジロの巣立ち雛が届けられました。ちょっと早くに巣から落ちてしまったようです。お祭り会場の設営時に、驚いたのかもしれません。7月後半より、メジロ、オガサワラヒヨドリ、トラツグミなどの巣立ち雛の保護や、人工物への激突事例がずいぶん増えています。たしかに例年、この時期には巣立ち個体が散見されるのですが、今年は随分と目につく印象があります。驚いたことろでは、この目につく地上を徘徊している中に、ハシナガウグイスもいたことです。こんな姿を見るのは私はじめてでした。島でよく自然を観察している方からも、何度か声をかけられました。何かの要因で、この春には、沢山の子育てが行われる条件が整っていたのかもしれません。多産のあとの餌不足、そんな気がしないでもない、今年の夏です。

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海の最中に、小さく飛びさるオナガミズナギドリの姿
見えるかな?(2008/07/13の放鳥個体)

ちょこ、ちょことオナガミズナギドリの保護があります。子育てのために小笠原群島の属島各島に飛来中で、現在は抱卵真っ最中です。8月上旬にもなるとヒナが孵ります。ミズナギドリ類の多くは光に集まる習性を持っており、有人島の人工照明がこれらの海鳥を誘引してしまうこと、ネコや車のある有人島ではこの不時着や激突が命とりになることが、このコーナーでもたびたびお伝えしてきました。でも、これらのことを積極的に呼びかけはじめて5年ほど、早期回収も定着し、外灯もどんどんナトリウム灯に変わりゆき・・・・・いずれ、これらの人工灯誘引による被害は最小限度に押さえられる日も近いのでは? そう夢見ていた矢先でした。文明のシンポ? こう書くと大げさかもしれませんが、技術進歩が、あらたにこの問題を再浮上させたのです。港湾施設に新規設置された照明、あたらしい自動販売機群、みな光源が改良され、省電力化は進んでいるのでしょうが、同時に明るさは格段に強くなってきたのです。内地に戻ると、車の灯りがまぶしいことによく驚きます。ひとつひとつの照明は改善されても(その性能がどんなに進んでも)、それゆえに、あちこちに照明が増えていけば、島全体での明るさは、際限なく強く・大きくなってしまいます。地球資源にはやさしい技術(省電力による強力ライトなど)でも、それが野生動物にやさしいわけではない、ということを痛感する年になりそうです。

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青リングをつけたオガサワラノスリをみかけたら、
どうぞご一報くださいませ。

放鳥は、お昼に保護された農園にほど近い、八瀬川の河川敷で慣行しました!「ふたたび農園に行くことなかれ」と祈りつつ、念のために「放鳥後の追跡」と「出戻り確認」が出来るように「識別用の青リング」両足につけました(天然記念物なので小笠原村教育委員会に許可を得て実施)。いきなり低く飛び出すや河川敷芝地のテーブルにとまり、さらに低空飛行で、川を越えて藪の中に突っ込みました。「はたしてあんなんで大丈夫なのか?」「保護数日で太りすぎたか」「翼力がやはり低下していたか」と見守るメンバーをハラハラさせましたが夕方には、藪からいなくなっていました。(後日、島内で元気に飛んで姿が、何度も目撃されました)
今回のノスリの保護で、印象的だったことがあります。当研究所では、これまでも何度か猛禽類(オオタカ、ハチクマ、チョウゲンボウなどなど)の保護事例がありましたが、このオガサワラノスリ、まったく雰囲気が違ったのです。一言でいえば「猛禽類らしからぬ」「野生動物らしからぬ」つまり、驚くべき警戒心のなさであり、劇的な慣れのはやさだったのです。ノスリは内地のものでも、基本的に大人しいとはいえ、それは劇的だったのです(鳥に詳しい、石原先生も保護2日目にして、「ずっと前から飼っている鳥みたい!???」と驚かれたのでした)
もう、これは猛禽類ではなくて、「オガサワラオオコウモリ」や「アカガシラカラスバト」の習性(表情や反応も含めて)と、兄弟姉妹といった感覚だったのです。 あぁ、やはりオガサワラノスリも、この小笠原の、海洋島の生物なんだな、言ってみりゃ「島っこ」なんだなぁ と実感した保護事例でした。

Spcial THANKS 石原さゆり先生(NPOどうぶつたちの病院)、森本農園のみなさま、千葉由佳&勇人12THANKS 小笠原村教育委員会、小笠原支庁産業課、東京都鳥獣保護員、Yukino san&Kuu chan
※小笠原自然文化研究所は、東京都からの委託により、鳥獣保護法にもとづく傷病野生鳥獣の保護機関として、これら野生動物のレスキューを行っています。