レスキュー

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餌を覗き込む。
千葉さんの調査内容との照合によれば、
八瀬川流域で産まれた今年の巣立ち個体。

オガサワラノスリは石原先生に診て頂きながら、麻痺や疑われた神経症状らしきものも消えて、みるみる元気になりました。おそらくは一時的なショックによる衰弱で、順調に回復してきたところであろう判断されました。こうなると、つぎは放鳥への準備です。島にはフライングケージがありませんので、ラインフライトになります。石原先生ともご相談し、そのリスクと現在の良好な回復状況、保護してまだ数日しかたっていないことを考えるて、早期に放鳥すべし、との結論に至りました。

Spcial THANKS 石原さゆり先生(NPOどうぶつたちの病院)、森本農園のみなさま、千葉由佳&勇人
THANKS 小笠原村教育委員会、小笠原支庁産業課、東京都鳥獣保護員、Yukino san&Kuu chan、CHIKAKO
※小笠原自然文化研究所は、東京都からの委託により、鳥獣保護法にもとづく傷病野生鳥獣の保護機関として、これら野生動物のレスキューを行っています。

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保護2日目 両目がパッチリ開いて、止まり木も
しっかりつかんでいる。こう彩の色、クチバシの
色から若い個体である可能性大。

7月10日に父島知人の農家さんより連絡がありました。オガサワノスリを保護した!とのこと。数日前から、畑周辺をうろつき畑で飼われているニワトリの子供(いわゆるヒヨコ)を狙っていたようです。ところが、この畑の番人シチメンチョウに見つかって! なんと発見時には、シチメンチョウの足の下にいた模様。ヒヨコを捕獲せんと地上に降りて夢中になっているところに、タックルをくらった そんな状況が想像されます。とにかく、ペシャンコになって身動きしないノスリを当研究所に持ち帰りました。ノスリは左目が開かず、左翼や左足の脱力が心配されました。もしも、シチメンチョウに体重をかけられていたり、背部より足爪が入るなどしていれば、骨折などの内傷や感染症も心配されるところ。こうなると、いかに絶滅危惧種といえども野生動物専門の獣医さんがいない小笠原ではお手上げとなることろですが、今回は幸いにも別件の調査で長期滞在している石原先生(NPOどうぶつたちの病院)に全面的にサポートして頂くことになりました! さらに、長年、個体識別調査を実施している千葉由佳さん・勇人さんご夫妻の全面サポートも最強の布陣です。

Spcial THANKS 石原さゆり先生(NPOどうぶつたちの病院)、森本農園のみなさま、千葉由佳&勇人
THANKS 小笠原村教育委員会、小笠原支庁産業課、東京都鳥獣保護員
※小笠原自然文化研究所は、東京都からの委託により、鳥獣保護法にもとづく傷病野生鳥獣の保護機関として、これら野生動物のレスキューを行っています。

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はたして,南硫黄から飛んできたのだろうか?

GWの小笠原です.飛び石のせいでしょうか.ちょっとお客さんが少ないようで寂しいかんじです.空模様もいまいちで,4月後半から山の稜線はガスがかかることが多く,はやくも梅雨入りしてしまったかのような天気が続いています.そんな中で,今日はクロウミツバメの保護がありました.この鳥は,海鳥では珍しい小笠原固有種です.近年,繁殖が確認されているのは南硫黄島のみ.昨年,四半世紀ぶりに実施された調査で, 文字通り25年ぶりの繁殖が確認されました.調査は6月後半で繁殖後期と思われたので,今は彼の地で抱卵中の鳥が沢山いるのではないかと思います.実は4月後半より,ミズナギ類の不時着が続き,中には電線衝突で翼を骨折し死亡したものいました.このクロウミツバメは大きな怪我なしで一安心です.

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♀若鳥と思われる

チョウゲンボウが保護されました.見つけたのは子供達.いつも彼らの観察眼,発見力には驚きます.この鳥は収容時に激やせ状態ですでに昏睡状態にありました.一時的に意識回復し、自立するまでに持ち直したものの体重の低下が止まらず残念ながら死亡しました.さて,近年小笠原に分布している猛禽類ではオガサワラノスリ1種となっています.(戦前に記録があり,近年観察例のないシマハヤブサを除けば) しかし,定着はしていませんが,実にはさまざまな猛禽類が小笠原にも訪れています.チョウゲンボウはその代表選手で見かけても驚かないくらい頻繁に観察される猛禽類です.ほかにもミサゴ,コミミズクといった鳥が見られます.また,なんと北の猛禽類・オジロワシも,ここ数年,聟島列島では冬の定番になっています.

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父島で まどろむ2羽.(ピンボケ失礼)

レース鳩その後・・・
今日,レース鳩のオーナーから無事到着の連絡を頂きました.少なくとも今回のレース鳩の1羽は,22日に青森県野辺地で放鳥されたことがわかりました.父島での保護が24日.前日からすでに父島内で噂があったことを考えると,最短の場合,23日つまり放鳥翌日には小笠原まで到達していた可能性があります.このタイミングでは,父島に向かうおがさわら丸は走っていませんでした.どうも今回はまさに完全自力で飛んできた可能性大です.オーナーもびっくりの大飛行ですが,レーススタート時には前日までの低気圧の風が残っていたそうです.通常のレースでは,だいたい平均時速にして80kmほどで飛ぶそうですが(これでもビックリ!),風に乗ったりするとさらにスピードがあがることがあるそうです.で,今回ですが,他の鳩たちは時速120kmという速さで埼玉県の鳩舎に帰りついたそうです.いったい小笠原に到着したハトくんは,時速何キロで飛んでいたのでしょうか!??
ともかく2羽とも無事だったそうで,よかったよかった.関係者のみなさま改めてご苦労さまでした.