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翼を負傷したセグロミズナギドリ

2月9日、奥村グランド近くに、ミズナギドリがいる との連絡で駆けつけると、それは希少種のセグロミズナギドリでした。右翼から血を流しており、翼の付け根部分が、鋭い裂傷下で開放骨折しており、右翼は皮一枚でつながっている状況でした。あらぬ方向を向く翼は歩行のじゃまになる上に、痛いのでしょう、さかんに自分で患部に噛みついてパニック状態になっていました。皮1枚の翼を切り取り、安静にして数日を過ごしましたが残念ながら死亡しました。翼の負傷は、傷や骨折の状況から、電線への衝突した可能性が高いと判断されました。
人工構造物(建造物、電線、照明)に激突死亡・負傷する海鳥は多く、その中にはこのセグロミズナギドリのように絶滅危惧種も含まれています。

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保護されたシロハラミズナギドリ

今日は、ものすごい大嵐。ははじま丸は欠航し、二見湾内で沖留めしています。いつも青い湾内は緑白色に濁り、大波が押し寄せています。湾の外は6m以上の波。まさに台風なみ。悪天候の影響もあるのでしょう、シロハラミズナギドリが父島で保護されました。昨日、母島で保護されたばかりでもあり、おもに冬期に見られるこの鳥の、小笠原群島近海への飛来が始まった証拠でしょう。いつもはシロハラミズナギやセグロミズナギが保護されると、とても小さく感じるのですが(オナガミズナギに比べて)、ここのところPuffinus assimilisを見慣れていたので、いつになく大きく感じました。発見は、大きいシロハラのほうが足が細いこと、大きさに対してシロハラのほうが体重がない(小さいassimilisのほうがつまっている(丸まる体形)であることなどでした。

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12月11日に父島集落地で保護されたオナガミズナギドリ

11月末から12月にかけては、小笠原諸島で繁殖するこの海鳥の巣立ち時期であることが、最近の調査でわかってきました。巣立ち鳥には、頭頂、頚まわり、お腹の下など、クチバシが届かない部分に、ヒナの名残の綿毛を残しているものが多いのです。この鳥も見事な?ヒナの証拠を残しています。小笠原で繁殖する中型海鳥としては、最大の規模の繁殖を誇るオナガミズナギドリですが、巣立った後の行動はいまだ多くの謎につつまれています。有人島へは、人工照明に引き寄せられて飛来すると考えられています。

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こんなポスターが掲示されました

長期に渡るお休み、ゴメンナサイ。この間のWIDL Rescueまで中止していたのか? というと、そうではありません。例年通り、島を走り回っていましたが、なかなかHPへのアップがついていきませんでした。
さて、小笠原自然文化研究所(島での通称i-Boアイボ)では、この11・12月にはじめて、オナガミズナギドリの巣立ち時期の不時着個体の積極的な保護を呼びかけました。過去、10年ほどの小笠原父島の傷病鳥獣保護データを整理する中で、小笠原における野生動物の保護でもっとも多いのは、小笠原で繁殖する海鳥オナガミズナギドリであり、特に11,12月に集中すること、そしてこの時期は巣立ち期にあたっていることなどがわかってきたからです。今後は、このコーナーでも小笠原の傷病鳥獣保護のデータ蓄積から見えてきた、自然の姿なども時々紹介します。

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オナガミズナギドリの保護を呼びかけるポスター

読めるかな? 保護する理由の解説.島内の公官庁はじめ各機関、それに観光協会ご協力で父島の民宿に周知させて頂きました。