レスキュー

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尾羽がないメジロ

ノラネコに尾羽を根ごと食いちぎられたメジロが運ばれてきました。バランスを失って反り返ってしまい、運び込まれたその日に死んでしまいました。
小笠原でのノラネコ問題はいろいろなことを考えさせられます。ネコ問題とは実は人の問題に他ならないと思います。人が居住する集落においては、責任と愛情をもったネコの飼養が必要ですし、そして山でのノラネコ化(捨て猫)は、なんとしても止めなくはなりません。ネコのためにも、他の動物のためにも、人のためにもです。

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ごらんの通り白い翼です。

父島八瀬川で、おそらく切れて捨てられていた釣り糸&ルアーに絡まったサギが持ち込まれました。これが、なんとアカガシラサギ。主に中国大陸で繁殖し、日本では熊本県のみで繁殖確認されている珍しいサギです。小笠原で見られているどのサギよりも小さく、背は黒褐色ながら羽が白いのが目だちます(現在、冬羽)。この個体は絡まった釣り糸をほどき八瀬川で放鳥しました。とても元気だったので、今なら、川沿いを探せば木の上などに留まるアカガシラサギを見ることができるかもしれません。

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11月中旬より、しばらくのお休みでした。この間、レスキューがなかったのか?というとそうではありません。実はHPへのアップが出来ないくらいにレスキューがありすぎて、あぁ早く載せなくては・・・と思いつつ日が過ぎてしまいました。ごめんなさい。
さて、ようやく少し落ち着いてきたので、ボツボツと過ぎたことではありますが。ご紹介させて頂きます。
まずは、なんといってもオナガミズナギドリです。カツオドリの次に、と言って良いほど小笠原ではポピュラーな海鳥ですが、秋から冬へと移行するこの季節は、丁度この鳥の巣立ち期にあたります。そして、巣立った鳥の多くが、なぜか父島や母島の集落に不時着するのです。おそらくは人が住む島の人工照明に寄せられて迷い込むのであろうと考えられます。強い風がないと、地面からは容易に飛び立つことが出来ないミズナギドリたちは、たとえ不時着時に怪我がなくとも、放置するとノラネコや車にやられてしまうことが多く、積極的な保護・一時保管が必要です。
さて、暖かい日が続いた今年の巣立ちですが、天候の急変した11月19日の晩より始まりました。11月30日までに当研究所でレスキューしたオナガミズナギドリの数は17羽。今年の巣立ちピークはこのように11月後半でした。

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保護されたクロコシジロウミツバメ

11月29日、私が乗った父島発の「おがさわら丸」に1羽の海鳥が迷い込みました。日が暮れてまもなくで、まだまだ小笠原から200kmも離れていないあたり、デッキで乗客が見つけ案内所に保護されていたその海鳥は、なんとクロコシジロウミツバメでした。岩手県日出島、三貫島で繁殖し、小笠原海域では大変珍しい鳥です。大型台風の接近前ですでにけっこう時化ていたので、翌朝になってから三宅島沖で放鳥しました。

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体には白い毛が目立つ

一日様子を見たが、元気で問題はなさそうである。いつもの捕獲調査時の一連の作業(外部形態計測、内部識別標識挿入、DNAサンプル採取、などなど)を行う。驚くほど白色の体毛が多く、翼を除く体色が白く見える。これが、以前から欧米系島民・旧島民がいう「白いオオコウモリ」なのだろう。体サイズ、歯の摩耗度から考えても、この個体はかなりの年寄りである(雌なので大おばあ)。夕方捕獲した場所の近くで放獣する。飼育中に気づいていたのだが、噛む力はかなり強い個体なのだが、随分腕力がない点(例えば箱やゲージから出すとき、様々なところにツメを引っかけ引っ張るので、出すのは困難なのが普通だが、この個体は比較的楽だった)は、樹木に登らせてみると明らかで、とてもヨボヨボしていた。この状態ならば木から落ちたり、電線にぶつかって落ちるなと思われた。