レスキュー

 しばらくお休みしてすいません。小笠原でもいよいよ夏が終わり、海にはいるにも肌寒くなり、日射しにも秋の気配がかんじられるようになりました。さて、10月に入ってから、いくつかの鳥が相次いで当研究所に運び込まれました。中でも多かったのはアナドリ。一回り小さく感じられるほど、痩せて、海水がしみるほど羽にも油のない数羽は、おそらく巣立ち直後の鳥だと思われます。長生きする種類が多いといわれる海鳥類ですが、巣立ち後しばらくの間は、もっとも危険の高い時期です。

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保護されたオナガミズナギドリ

この期間、オナガミズナギドリも保護されました。アナドリと異なり成鳥です。アナドリが巣立ちを迎えるこの時期、今年生まれのオナガミズナギドリ達はまだ穴の中にいます。そろそろ親鳥の姿は見られなくなる頃なので、もしかしたら季節がわりの海上で南下する大集団に会えるかもしれません。例年ですと。11月下旬頃に巣立ちヒナと思われる不時着が集中します。以前もお話ししましたが、外傷等はなくとも、放置すると父島や母島では、車かネコにやられてしまうため、一時的に保護してあげることが必要です。

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保護されたシロハラミズナギドリ

台風通過の前後に悪天候で不時着したオナガミズナギドリ2羽、シロハラミズナギドリ1羽が保護されました。頭部を強くうっている個体もありましたが、幸いどの個体も翼や足、嘴の負傷はありませんでした。大時化の海が落ち着くまで様子をみることにしました。

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「箱から出すと、いきなり飛んだ!」

台風前の9月25日、悪天候の中、オナガミズナギドリの不時着個体が持ち込まれました。電線か建物にぶつかって脳しんとう状態のところを、ネコに襲われて血だらけでした。幸い大きな傷・怪我もなかったので、少々栄養を与えて、一晩安静にしました。台風接近前なので子育ての時期でなければもうしばらく安静にするところですが、まさにこの時期は食欲旺盛なヒナが待っているので翌朝放鳥しました。

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車にひかれたメジロ

最近、梅雨開け後に巣立ったメジロ、ヒヨドリをよく見かけます。尾が伸びきらず、体型も「丸っこく」、見るからにヒナという奴、見かけは成鳥と変わらないのに、ピーピー必死に鳴きながら親鳥を追いかけている奴。みんなまだまだ半人前(餌とりも飛ぶことも)で、ドジを踏みながら成長していく時期なのです。さて、この時期、実を付けているガジュマルやクワノキがあります。鳥にとって最高のレストランですが、同時に危険な場所にもなるのです。夢中になって、地面に落ちた実をついばむ時に悲劇は起こります。写真は、そんな時に車にひかれてしまったメジロです。また。レストランに入ろうと、低く低く道路を横切り飛ぶために車とぶつかる鳥もいます。道路近く、特に曲がり角にあるガジュマルなどは要注意です。鳥との交通事故は決まった場所で集中して発生することが多いのです。鳥の鳴き声や、路面の汚れで、「あ、いまこの木は実がなっていて、鳥が沢山集まっているな」と気付いたら、スピードを落として安全運転を!
※ガジュマル(の実)には、メジロ、ヒヨドリ、トラツグミ(実およびミミズ)、メグロ(母島)、アカガシラカラスバトなどがやってきます。特にアカガシラカラスバトが神出鬼没になる、夏から秋にかけては、町中や主要道路近くであっても注意が必要です。