Bryan’s shearwater

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速報会ポスター

かつて、小笠原の海・空・島の一部であったはずの、小さな小さなミズナギドリ。これまで世界じゅうで、確実な情報は、わずか8例でした。4月2日(木)父島ビジターセンター、5日(日)母島支所、6日(月)扇浦交流センターで、発見速報会をやります。

本日、2012年2月8日(水)、小笠原父島ビジターセンターにおいて、前ページの講演会を行います。すでに各方面において報道がありましたので、概略をお伝えします。

2011年、ハワイにおける保管標本の再精査により、埋もれていた小型ミズナギドリ種が発見され、Bryan’s Shearwater Puffinus bryani として新種記載された。しかし、近年の観察記録がないことからミッドウェイ諸島では、すでに絶滅している可能性も心配されていました。
 一方、小笠原諸島でも、種が判定できない小型ミズナギドリが見つかっており、暫定的にヒメミズナギドリとしておりましたが、その形態は同種と完全には一致していませんでした。

 そこで、この小型ミズナギドリのDNAと形態を分析した結果、各方面の報道にある通りBryan’s Shearwater Puffinus bryani と一致しました。 我々は、この海鳥の和名を「オガサワラヒメミズナギドリ」とすることを提案しています。

 この小型ミズナギドリ、小笠原諸島では複数の死体と1羽の生存個体(傷病鳥獣として保護され、後に野生復帰がかなわず死亡)が確認されていました。そして、本HPの当コーナーの過去ログ 2005年1月8日〜28日にご紹介しているものが、まさにその生存個体の1羽でした。当時の記事にもある通り、この時点では種が特定できず、ヒメミズナギドリである可能性がもっとも高い、というところで、お終にしております。今回の発見は、その後の研究の成果です。

 なお、現在インターネットの検索をするとヒメミズナギドリとして、当研究所の上記のHP記事がヒットすると思いますが、2005年1月8日〜28日の記事の鳥こそ、DNA解析により、まさにBryan’s Shearwater Puffinus bryaniであることがわかった小型海鳥にあたります。
 また、現在市販されている以下の図鑑において、ヒメミズナギドリ が掲載されておりますが、これらの情報は小笠原自然文化研究所より提供させて頂いたものです。 今回得られた新知見に基づいて、当図鑑のヒメミズナギドリが、今後は、Bryan’s Shearwater Puffinus bryani に修正されることを報告し、さらに本種の和名を「オガサワラヒメミズナギドリ」とすることを提案します。

「ネイチャーガイド 日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版」
「海鳥識別ハンドブック(箕輪義隆 著)」いずれも 文一総合出版

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昨年末に、少しご紹介した小型ミズナギドリについての講演会の紹介です。

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写真は2005年1月 過去ログもみてね

2011年のオナガミズナギドリ巣立ち ほぼ完了のうれしさから、立て続けの海鳥談義が続きました。(情報出すとき立て続け! ドカンとお休み にしないで、平均的に情報発信しないさい!! と怒られているのですが・・・なかなかなおりません。スイマセン) ひらきなおって もうひとつ、新しい可能性を秘めたミズナギドリの小話を!
これまでに小笠原諸島では、種不明の小型ミズナギドリが複数見つかっています。その一例は、2005年の本コーナーで、「種が特定できないがヒメミズナギドリの可能性が高い海鳥の保護事例」としてご紹介しました。(過去ログから2005年1月をご参照あれ!)
暫定的に「ヒメミズナギドリ」とされたものの、形態的な特徴が完全に一致しないことなどから、私たちは、この小型海鳥を「オガサワラヒメミズナギドリ」と呼んでおりました。
さてここで、話の舞台は太平洋を東へ移動します。2011年8月(今年!)のこと、ミッドウェイで1963年に採集された個体をもとにBryan’s Shearwater Puffinus bryani という小型ミズナギドリが新種記載されたのです!!
そして、オガサワラヒメミズナギドリの形態は、この新種にとても似ているのです!!。 現在、私たちは他機関の研究者と共同で、DNAと形態の分析を行っている最中です。結果は、早ければ来春には発表したいと思っています。その際には、このコーナーでも真っ先にお知らせします。

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VIPの貫禄?顔アップ

この1月、2月、小笠原は猛烈な時化に断続的に見回れています。先日、海鳥の調査で聟島列島に行った際には、通常3時間の行程を4時間50分かけて帰ってきました。漁船は大揺れを取り越した、キリモミ?、そこまでなると、酔う余裕もない状況となります。そんな大波と空が交互にジェットコースターのように見えるだけの海の上にも、颯爽とクロアシアホウドリが飛んでおりました。海鳥はすごい。漁師もすごい。さて、前回ご紹介した小型ミズナギドリは、未だ種が特定出来ない状況ですが、Puffinus assimilis(和名ヒメミズナギドリ)である可能性がもっとも高そうです。(コセグロは少し古い時代の同学名に宛てられた旧和名でした) ヒメミズナギドリであれば日本では平岡、千葉(1997)以来の2例目となる報告になります。VIPとして、さまざまな詳細な計測を終えましたが、脚力、翼力の低下が見られるため、現在リハビリ中です。青い足、目の上までの白さ、寝るときに足を羽毛の中にしまい込むなど、これまで見てきた小笠原で生息するミズナギドリとは、まるで異なる特徴が沢山ありました。


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