2003年

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おがさわら丸から飛び立つ

ガーコの放鳥にご協力頂いた鳥類研究者より写真が届きました。
日時:2003年10月22日 15時45分
場所:媒島沖 おがさわら丸後部車両甲板左舷後方より放鳥
協力&感謝:川上氏、(株)小笠原海運

【ガーコ(カツオドリ)記録】
8月6日 小笠原諸島聟島列島・媒島(なこうどじま)周辺で海上のゴミに乗っかり漂うヒナをMissPAPAYA号が保護
8月7日 保護開始 父島・当研究所に持ち込まれ保護開始(東京都からの飼養依頼)。全身白色の綿毛。風切りのみ黒(成鳥羽)。衰弱し、痩せており数日は栄養食。
8月10日 尾羽も生えてくる。一日ムロアジ2本。
8月17日 翼のほとんどが生え揃う、雨覆付近に肩飾りのように白綿毛がのこる。ごくわずかながらマスクの縁も綿毛が抜けはじめ、顔が黒く細い線で縁取られたようになる。枝や葉をつかんで嘴遊びをするようになる。
8月24日 額、胸にもまだらに黒色がまじりはじめる。時折、一瞬羽ばたくようになる。
8月29日 翼、尾羽は完全に成鳥羽。パッ見の印象は白黒半分。食欲旺盛ムロアジ3本〜。
9月02日 首、下腹を除き一気に白綿毛は抜ける。首が細かい白、黒まだらで、ウのように見える。食欲旺盛ムロアジ3〜4本。この時期がもっとも太っていた。葉むしり等が激しくなり、嘴ではさむ力が明らかに増した。力強い羽ばたきがみられるようになる。
9月12日 本格的な羽ばたき練習がはじまる。飼育スペースからの脱走始まる。スペースを広げて高台をつくり、ジャンプ等、飛行のまねごとが出きるようにする。
9月14日 新しい囲いも飛び越えてあたりを徘徊するようになりました。このころには、お腹の茶色(成鳥では真っ白)を除けば、もうすっかり成鳥同然になる。
9月18日 初飛行 二見湾内黒岩まで飛んだか?保護から40日。テープ標識装着。
9月24日 青灯台付近へ出没。飼育スペースには戻らなくなりはじめる。
10月2日 第1回目 放鳥 青灯台より。以降、湾のどこかで寝て、お腹が空くと戻ってくる。水(浮かぶこと)を怖がるため、水中でのエサとり訓練開始。
10月6日 飛び込めるようになる
10月8日 南島沖で放鳥1回目 数時間で戻るが飛翔技術(滑空)が格段の進歩。
10月11日 湾外の沖で若鳥の群中に放鳥。飛行技術等遜色なし。これ以上の給餌は逆効果と判断し、青灯台での絶食。追い払い開始。毎日数度の追い払いと、別の場所からの放鳥を繰り返し続ける。
肉付き、飛翔能力、ダイビング技術等も充分と判断。強制的な青灯台離しに着手。
10月22日 媒島(故郷)沖にておがさわら丸より放鳥

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ガーコ、おがさわら丸に乗る

ガーコがほかの若鳥と同じ程度の飛翔能力を得たこと、へたくそではあるが海面へのダイビングも数度見られていること、海面に浮いてさかんに水中を覗く、つまり魚のいどころはわかっていることから、物理的に父島からの引き離しを計画し、島を訪れた鳥類研究者と小笠原海運の協力をえて、故郷の聟島列島へ返すことにしました。10月22日の朝、10日に及ぶ追い払いにもめげずに青灯台へ帰ってきたガーコを捕獲。午後2時に父島を出発の「おがさわら丸」に託しました。午後3時過ぎ、聟島列島の横を通過するころに船からの放鳥するために。

 ガーコ(カツオドリ)はその後、どうなったのか? と複数の方からご連絡を頂きました。しばらく書き込まなかった10月11日から10月24日の間に、ガーコを青灯台(父島二見港)から引き離すべくトライ&エラーは繰り返されていました。青灯台でのエサやりをストップし、日に数度のパトロールをして、岸壁に姿を見つけると追い払うことを繰り返しました。陸上移動で青灯台以外の場所へ行き、小港1回、洲崎1回、コペペ2回で放鳥を、さらにはボートで南島沖からの放鳥3回。初寝沖1回等を繰り返しましたが、すばらしいコンパス能力で、その日のうちに戻ってきました。戻るまでの数時間の間に、沖にいる同い年の若鳥に交じることもあり、飛ぶ技術はすっかり一人前になりました。しかし、エサだけはコントロールできませんでした。島のちびっ子をふくめて、給餌にも協力してくれていた多くの人の理解と協力でできる限りの断食をさせましたが、入船ごとメンバーが替わる観光の釣り人さん達への周知徹底は難しく、どこかでエサをやってしまうことが繰り返されました。

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保護されたオナガミズナギドリ

この期間、オナガミズナギドリも保護されました。アナドリと異なり成鳥です。アナドリが巣立ちを迎えるこの時期、今年生まれのオナガミズナギドリ達はまだ穴の中にいます。そろそろ親鳥の姿は見られなくなる頃なので、もしかしたら季節がわりの海上で南下する大集団に会えるかもしれません。例年ですと。11月下旬頃に巣立ちヒナと思われる不時着が集中します。以前もお話ししましたが、外傷等はなくとも、放置すると父島や母島では、車かネコにやられてしまうため、一時的に保護してあげることが必要です。

 しばらくお休みしてすいません。小笠原でもいよいよ夏が終わり、海にはいるにも肌寒くなり、日射しにも秋の気配がかんじられるようになりました。さて、10月に入ってから、いくつかの鳥が相次いで当研究所に運び込まれました。中でも多かったのはアナドリ。一回り小さく感じられるほど、痩せて、海水がしみるほど羽にも油のない数羽は、おそらく巣立ち直後の鳥だと思われます。長生きする種類が多いといわれる海鳥類ですが、巣立ち後しばらくの間は、もっとも危険の高い時期です。


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