2006年

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西島沖 ぬっと出たザトウクジラ

最近、すこし重たいレスキュー話が続きました。
今日は、ちょっと海など眺めて、休憩することといたしましょう。

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片翼がとれかかったシロハラミズナギドリ

3月6日、父島の集落地でネコに襲われているシロハラミズナギドリが保護され、届けられましたが、すで片翼の付け根が粉砕され脱落寸前で、傷も深く、結局、死亡しました。これまで、北之島や硫黄列島からしか、繁殖記録のない希少な海鳥です。この時期には、繁殖のために成鳥が飛来します。このコーナーでも繰り返しご紹介してきましたが、一度陸地に降りたなら、まったく動きの鈍いミズナギドリやウミツベメたちは、とくに格好の餌食になってしまいます。

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保護されたクロウミツバメ(小笠原固有種)

2月21日父島西町、夜の飲食店街で落下してきたクロウミツバメが保護されました。最後は人にぶつかったとかで、人工光に惑わされ、あちこち激突した後に、フラフラ落下したようです。一晩安静にすると、十分に落ちついており、激突による身体内部の腫れも心配なさそうなので、さっそく翌日放鳥しました。いつもお世話になっている、調査船興洋(小笠原水産センター)から、この数日間、クロウミツバメとシロハラミズナギドリが父島列島の沖合で飛んでいるという情報を頂いて、いよいよ、今シーズンも始まるなぁ、と思っていた矢先のことでした。この両種は希少種で、とくにクロウミツバメに至っては、あまりにも知られていませんが、陸鳥メグロとならぶ小笠原固有種です(海鳥では唯一の固有種 RDB:DD)。火山列島で繁殖し、索餌の関係か、春先のこの時期だけ父島・母島列島沖合に出没します。しかし、5月をすぎた頃からは、母島より南へ行かないと、ほとんど見ることが出来なくなります。今なら、おが丸、はは丸から見ることが出来るかもしれません!

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人から離れて生活している個体〜父島扇浦にて

さて、1月の半ばのこと、母島を訪れると、ハクチョウ達は島でもっとも人が行き交う、町場に面した浜辺に降りて、人のすぐ足元にまですり寄って餌をねだるようになっていました。また、一方では衰弱して脱落する個体も出始めていました。その2週間前には、元日の海開きイベントの上空を飛び、島の話題となったコハクチョウ4羽。その後、父島・自然文化研究所から餌やり自粛の声が届くも、毎日、人の足元までやってくるコハクチョウ。また10年前から見ることができるようになったテレビをつければ、「今年は厳冬で、ハクチョウ類の南下が各地で相次いでいるというニュース。」さらに、そこには、各地の池や沼で、珍客ハクチョウに盛んに餌をまく、数え切れない人の姿がありました。
写真:あまり人を寄せない個体もいた。父島扇浦の1羽。恐らく、10羽をこえる最初の目撃集団ではいっしょだったと思われる。さらに、お正月以降に目撃された4羽からはぐれたことも考えられるが、本当のところは、わからない。

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 ウトナイ湖(北海道:撮影9月)
冬季にはガン・カモ仲間の大集団が飛来する。

内地(本土)では?

というわけで、群れからはぐれた鳥で、かつ人工給餌を経験したと思われる個体は、迷行先でも人を頼って集落地域に降りてトラブルを発生させる可能性がより高いために、餌付け個体と判断されたら早々に捕獲→移動(大きな群れにまぜる)するといった、対処法が出てくるわけです。