2009年

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背中に深く、爪傷が入っている

ネコに襲われているところを運び込まれたキョウジョシギは、背中に深い傷を持ち、息も絶え絶えでした。背中側に肺などがある鳥たちは、ここへの一撃は致命傷になることが多く、まず助かりません。渡りの途中の小笠原。干潟が拡がり、捕食性の外来哺乳類のいなかった時代は、夢のような中継基地だったのかもしれません。なんとか、減らしたい被害です。

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写真は聟島周辺を飛ぶコアホウドリ
(保護個体ではありません)

6月のこと、聟島列島で観光クルーズ船の船長さんコアホウドリを保護しました。浜辺に打ち上げられた状況で、かろうじて立っていましたが、極度の栄養失調があり、当研究所に運び込まれてすぐに自力で立てなくなりました。竜骨突起周辺の肉はほとんどなく、傾眠傾向にありました。鳥類に詳しい獣医さん〔内地〕のフォローも頂いてスタッフが懸命なケアを続けましたが、呼吸器系の疾患も併発し、残念ながら野生復帰はかないませんでした。小笠原諸島の聟島列島には、20組ほどのコアホウドリが繁殖しています。現在、アホウドリの人工繁殖地誘致作戦で、大きく脚光を集めている同所ですが、もともとコアホウドリやクロアシアホウドリが繁殖していたことが、誘致作戦を小笠原で行うことの決め手の1つになりました(他の理由:かつてアホウドリの繁殖地であったこと、2000年以来1羽の自然飛来が継続確認されていること、伊豆鳥島と近いこと等)。ところで、この聟島列島のコアホウドリ。日本では唯一と紹介されていますが、実は本種の分布する北太平洋内では、西側唯一の繁殖地となっているのです(メインは東側のハワイ諸島)。IBOでは2002年より聟島列島のコアホウドリとクロアシアホウドリにカラーリングを使った標識調査を続けています。残念ながら保護鳥の野生復帰はかないませんでしたが、小さいながら、とても貴重な小笠原のコアホウドリも大切にしたいものです。

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必ず近くに親鳥がいます

毎年のことですが、6月頃にはヒヨドリやメジロが繁殖し、巣立ち前後のヒナが、地面に落下したり、道路に出たりと騒ぎになります。放っておけば、交通事故やノラネコの餌食。どんどん保護しなきゃいけないのか? というと そうとも言えません。このようなヒナの場合、必ず親鳥が近くにいます。そして 心配して近づいた人のせいで、近くに来られなくなっていることが多い。あばれて巣から飛び出すのは、まさにそのステージに入ったからなのです。こんなヒナを見つけたら、近くの木の枝にとまらせてから、遠ざかること。これが一番です。保護はできても、鳥のルールや餌の採り方を教えることが出来るのは親鳥なのですから。

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その名の通り、見事な黒褐色の体色が美しい。

5月、6月でそれぞれ1羽(計2羽)のセグロミズナギドリが保護されました。戦前の和名をオガサワラミズナギドリと言いますが、戦後は「情報不足」と言われる状況が続いていました。2007年に東島と南硫黄島での繁殖が確認されました。わずかながら、毎年不時鳥が見つかる謎も解けました。春から夏にかけて繁殖し、7月に巣立ちを迎えます。


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