2012年

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クリクリお目々に ごっつい嘴

シロハラミズナギドリが保護されました。英名Bonin Petrel。
2007年南硫黄調査でバッチリ繁殖が再確認されたものの・・・、その後、何度調べても やはり北硫黄では見つからず・・。今後、小笠原群島・媒島などの土壌のある島での復活が期待されます。北南硫黄島の差を見るかぎり、やはり外来ネズミの存在が、これらの小型海鳥には決定的な脅威になっているのでしょう。

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ありがとう お元気で!

3月をむかえ、2011年度が終わろうとしています。ふりかえると、オオコウモリの保護が相次いだ年でした。その多くは、このコーナーで紹介する余裕が生まれないような難しいケースでした。ひとつの特徴は幼獣の保護で、もうひとつは台風シーズンの絡まり事故でした。両方重なった場合も含めて、保護が初夏から初冬まで、断続的に保護事例が発生しました。そのうちの2頭は、絡まり時に 締め付けられた皮膜が壊れていく、コウモリ特有の難しい症例に陥り重傷化しました。オオコウモリの沢山いるオーストラリアなどで知られている症例ですが、幸いに過去15年くらいは小笠原では経験したことがありませんでした。未だに世界的にも対処法に試行錯誤がある、コウモリ皮膜ゆえの症例は、オーストラリアと同じく、日常的にオオコウモリの治療を経験している沖縄県の獣医師さんたちに知見がありました。父島での応急対処を経て、沖縄で治療をして頂きました。これらの取り組みはあらためてご紹介したいと思います。
沖縄とのアイランドネットワーク始動の年を、一緒に支えてくださった方々が 帰任されます。ほんとうにどうもありがとうございました。オオコウモリたちとともに心より感謝です。

Special thanks Dr.Yuka ASAHINA,Tetuya CHIBA with BONIN LOVE

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重傷のムナグロ。ネコの傷は、例え軽い場合でも、
感染症をおこして助からなくなる場合が多い。

2月5日のことでした。大きな傷をおったムナグロが運ばれてきました。集落内でネコに襲われているところを助けられました。小笠原には多くの旅鳥が訪れます。ムナグロは常連さんで、特に冬から春には群で見ることができます。昔と今を比べると、他地域と比べれば、圧倒的に大きな地形変化・改変が少ない小笠原ですが、それでも、海岸線は大きく変わってきました。二見湾では多くの場所で、陸が海方向へ拡がり、新しい陸地が産まれて、港や住宅、グランドなどになっています。旅鳥から見た小笠原は、どう変化して、あるいは変わらずにあるのかは、わかりませんが、かつての干潟域が埋め立てられた今でも、ひとつの拠点として使われていることは確かです。ただし、かつての干潟と現在の芝地のグランドでは、大きく異なることもあるのです。たとえば旅鳥にとってのネコ。干潟はネコに対しては安全な場所でしたが、植栽木もあるグランドはむしろ危険な場所になっています。脇腹から背中にかけては、ネコに襲われた際に傷をうけやすい場所です。ネコの傷は例え小さなものでも、あとから感染症を起こして助からないことばかりです。ほどなく、このムナグロも残念ながら落鳥してしまいました。

本日、2012年2月8日(水)、小笠原父島ビジターセンターにおいて、前ページの講演会を行います。すでに各方面において報道がありましたので、概略をお伝えします。

2011年、ハワイにおける保管標本の再精査により、埋もれていた小型ミズナギドリ種が発見され、Bryan’s Shearwater Puffinus bryani として新種記載された。しかし、近年の観察記録がないことからミッドウェイ諸島では、すでに絶滅している可能性も心配されていました。
 一方、小笠原諸島でも、種が判定できない小型ミズナギドリが見つかっており、暫定的にヒメミズナギドリとしておりましたが、その形態は同種と完全には一致していませんでした。

 そこで、この小型ミズナギドリのDNAと形態を分析した結果、各方面の報道にある通りBryan’s Shearwater Puffinus bryani と一致しました。 我々は、この海鳥の和名を「オガサワラヒメミズナギドリ」とすることを提案しています。

 この小型ミズナギドリ、小笠原諸島では複数の死体と1羽の生存個体(傷病鳥獣として保護され、後に野生復帰がかなわず死亡)が確認されていました。そして、本HPの当コーナーの過去ログ 2005年1月8日〜28日にご紹介しているものが、まさにその生存個体の1羽でした。当時の記事にもある通り、この時点では種が特定できず、ヒメミズナギドリである可能性がもっとも高い、というところで、お終にしております。今回の発見は、その後の研究の成果です。

 なお、現在インターネットの検索をするとヒメミズナギドリとして、当研究所の上記のHP記事がヒットすると思いますが、2005年1月8日〜28日の記事の鳥こそ、DNA解析により、まさにBryan’s Shearwater Puffinus bryaniであることがわかった小型海鳥にあたります。
 また、現在市販されている以下の図鑑において、ヒメミズナギドリ が掲載されておりますが、これらの情報は小笠原自然文化研究所より提供させて頂いたものです。 今回得られた新知見に基づいて、当図鑑のヒメミズナギドリが、今後は、Bryan’s Shearwater Puffinus bryani に修正されることを報告し、さらに本種の和名を「オガサワラヒメミズナギドリ」とすることを提案します。

「ネイチャーガイド 日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版」
「海鳥識別ハンドブック(箕輪義隆 著)」いずれも 文一総合出版

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昨年末に、少しご紹介した小型ミズナギドリについての講演会の紹介です。