2014年

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今日は 鳥の話ではないけれど、すてきな灯りの紹介です。父島の おがさわら丸を降りた二見港の前にあるクリスマスイルミネーションです。小笠原らしく イルカもいます。観光のお客さんだけでなく、島に暮らす住民にも、冬の到来を知らせてくれる素敵な灯りで、大勢の人が楽しみにしています! 実はこのイルミネーション、オナガミズナギドリの巣立ち終了を待ってから点灯してくれているのです! LEDの登場以降、華やかつ省エネもかなえた新しい電飾時代を迎えました。各都市では11月下旬ともなれば、早々と街も木々も工夫を凝らした灯りで彩られ、街頭にクリスマスソングが流れます。設置に手間もかかりますから、美しい光の装飾を少しでも長い間、見てほしいとは誰しも思うこと。小笠原でも同じです。でも、南の島の小笠原では11月下旬から12月中旬が、オナガミズナギドリの巣立ち時期。巣立ち鳥の多くが人工照明に誘因されて、不時着して命を落とす場合もあることは、このコーナーでも繰り返しお伝えしてきました。そこで、小笠原村さんが、オナガミズナギドリが大方巣立つまで、点灯を待ってくれているのです。毎年、この時期には、村の担当の人、電気屋さん、私たちがドキドキしながら巣立ちの推移を見守ります。そして、点灯予定日には繁殖地調査の現場から直接電話をかけます。「大丈夫、巣立ちました!」。担当さんは、すかさず電気屋さんに連絡。さっそく作業準備に入り、夕方には、イルミネーション点灯となります。村だけでなく、近くの民宿さんでも、同じタイミングでイルミネーションの点灯をしてくれています。 巣立ち海鳥へも 心を配ってくれているみなさまのためにも、「オナガミズナギドリが巣立ったら! 小笠原はクリスマス。」というように、海鳥たちが季節の便りとして、もっと島の暦に溶け込むように頑張ります。

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昨日の繁殖地調査で、オナガミズナギドリの巣立ちがほぼ完了したことがわかりました。小笠原村のクリスマスイルミネーションをはじめ、民宿やご家庭などで、巣立ち時期のライトダウン、減灯にご協力頂いたみなさま、本当にありがとうございました。おかげさまで、今年生まれのオナガミズナギドリ達が無事に巣立つことが出来ました。積極的な夜間パトロールや、多くの方々の光への配慮のおかげで、死亡鳥はごくごく少数にとどめることができました。オナガミズナギドリの巣立ち鳥が旅立つと、入れかわりに冬繁殖の海鳥たちがやってきます。シロハラミズナギドリやセグロミズナギドリ。オナガミズナギドリに比べて不時着数は少ないものの、いずれも数が少なくなっている海鳥たちです。これからも、不時着鳥をみつけたら、アイボまでご連絡ください。
昼:2-3779 夜:080-2035-8078

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回収翌日、海岸から海へ帰る若鳥

今年も11月20日頃より、オナガミズナギドリの巣立ちを迎えています! このコーナーでもご紹介しておりますが、彼らは光に集まる習性があり、特に不慣れな巣立ち鳥たちは、街の灯りに誘われて続々と不時着してしまいます。海で生きるために進化した身体は陸上には不向きのようで、長い翼、大きなフィンをはいたような足が邪魔になり、すばやく海に戻ることもできません。海鳥にとって、不時着はとくに珍しいことはありません。とくに若い鳥にとっては、成長する過程で必要な寄り道とも考えられます。ところが、有人島となると話はちがってきます。陸地でジタバタしているうちに、交通事故、ノラネコ、再度の灯り衝突などで、放置すると命を落としてしまいます。初夏から台風シーズンを乗り越えて、半年をかけて育った命。自然の摂理にはない人為事故は、ひとつでも減らしてやりたいものです。すでに昨週末には、第1回目となる不時着ピークがあり、多くの巣立ち鳥を回収しました。子供たちとの不時着鳥の放鳥会も行いました。なお、昨日実施した父島周辺の繁殖地調査では、まだ半数近いヒナが残っている様子。まだ、まだ、不時着が続きそうです。気がつけば12月。忘年会シーズンとなりました。呑み会の行き帰りには、ぜひ足下にご注意ください。不時着した海鳥の発見時には、以下までご連絡くださいませ。1512現在:小笠原村、小笠原ビジターセンター、島内民宿さんをはじめ、多くの方々がミズナギドリの不時着を減らすためのライトダウンにご協力頂いています。大感謝!

IBO 04998-2-3779
あかぽっぽダイヤル 080-2035-8078

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生き抜け!

海鳥は、その名のごとく海とともに生きている鳥たちです。海の上を飛び回り、潜り、波の上で眠り、そんな彼らにも 卵を産み、ヒナを育てるために、陸地(島)が必要です。小笠原群島は、たくさんの海鳥が集います。そして、主な繁殖の季節によって、夏繁殖型、冬繁殖型と分かれます。アナドリは夏繁殖の代表種。8月初旬に卵から孵ったヒナは黒い毛玉のようです。防水性のない、ホワホワの綿毛に包まれたヒナは、生まれてすぐに、巣穴の中でひとりにされます。一羽で餌を運ぶ親鳥の帰りを待ちながら、ヒナはぐんぐん大きくなっていきます。少しづつ成鳥羽に生えかわり、最後に尾羽がのびたら巣立ちです。2ヶ月半、すでに季節は秋に入ります。毎年、台風シーズンと重なるこの時期の巣立ちに、うっかり不時着した巣立ち鳥。ガンバレヨと声をかけずにいられません。陸地ではか細く見える、足や翼、しかし、海の上の彼らは違います。たくましく、しなやかに、自在に青に溶けていきます。


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