2023年10月

教えてもらった場所で、シメを観ました。器用にモクマオウの種子をつばんでいました。母島では、マヒワやイスカの情報もあったようです。大きなコハクチョウだけではなく、今年は小鳥類がいろいろ渡ってきているようです。

ハクチョウの情報は途絶えており、続編はありません。まだまだ暑い小笠原、体力のあるうちに北を目指してくれていると良いのですが。さて、夏繁殖の小型海鳥『アナドリ』の巣立ちがはじまりました。自動販売機の光、照明への衝突、ライトアップされた壁面などへの衝突、墜落が数件ありました。8月頭に孵化して、丸2ヶ月以上かけて巣立った今年の子供達です。ここ数日、夜お出かけの人は、ぜひ照明周り等やライトアップ気味の壁面したなどにご注意くださいませ。

なんと、母島と父島でともにハクチョウ類の飛来が確認されました(昨日)。母島では沖港内の前浜で、父島では小港海岸と二見湾内の前浜で、ともに3〜4羽の観察のようですが、同一の群れかどうか、わかりません。おそるべし台風15号。2家族、いや、もっと集団で流されてきてもおかしくないし、この感じだと、北方系の渡り鳥が他にいても不思議ではありません。さあ、父母ともに空や海岸、水系、ダム、グランドから目が放せなくなりました!! 写真は父島の前浜(夕方)の3羽。コハクチョウかな。  だとすると、2003年、2006年以来かな? このコーナーの「カテゴリー別一覧」から、「コハクチョウ2003」、「コハクチョウ2006」もご覧あれ〜

900hPa 最大瞬間風速85m/s の台風15号!? には肝を冷やしましたが、なんとか、外れてくれて、本当に良かったです。今回は長い文章で、台風と迷鳥の話です。

小笠原では、10月〜11月頃の低気圧通過後には、北方面からの迷鳥、珍鳥が出現する場合がありました。北海道や東北地方をスタート地点とするレース鳩が、大きくコースアウトして保護されるものこの時期が多いです。

今回、台風15号進路の西側では、反時計周りに強烈な巻き込みで、上空に北から南へ向かう高速風道路が出来た可能性があります。つまり、北海道や、東北地方の野鳥が、あるいは、もっと北から北海道に飛来途中の渡り鳥が、意図せず、この高速気流に吸い込まれて、一気に、南の海上まで到達しても不思議はありません。

なお、毎年の事ですが、今年も、つい昨日、北海道で鳥フルが発生しました。例年なら、国内で鳥フルが発生している最中に、リスク種と言われる大型鳥や渡り鳥たちなどが、小笠原界隈までうっかり? 南下したりするのは、11月後半〜12月頃、つまり冬のことです。

しかし、今回は、なんせスーパー台風です。北海道への飛行途中であったより北方系の渡り鳥たちが、巻き込まれて、一気に飛来する可能性も否定出来ません。
(アイボで保護してきた グンカンドリや、アカアシカツオドリなどの多くは、台風前後の事例です。東側の南から北への巻き込みと思われる)

そんなわけで、スーパー台風の落とし物。 波打ち際だけでなく、空も気にして頂ければうれしいです。迷鳥、珍鳥などみかけたら(また、死体は触らず)、ぜひ、アイボやら鳥獣保護員さんやら、環境関係の行政職員さんにご一報ください。

シロハラミズナギドリが保護されました。飛来時に電線や照明にぶつかったのか?とも思いましたが、嘴、翼角、頭部など負傷しやすい部位に怪我はない。が、パッと見、目が見えていないように感じる・・・あれか!!? 大きすぎる黒目を、よくのぞきこむと間違いなさそうです。硫黄列島では海鳥の目に寄生するヒルが確認されています。この個体は翌日には死亡し、検体としてヒルの研究者の元へ送りました。なかなか衝撃的なお話ですが、見てみようという方は、以下をご参照くださいませ。

逢沢峰昭・森嶋 佳織  ニホンヤマビルとその分布
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsk/92/0/92_4/_pdf/-char/ja

Nakano, T., Suzuki, H., Suzuki, N., Kimura, Y., Sato, T., Kamigaichi, H., Tomita, N. & Yamasaki, T. 2020. Host-parasite relationships between seabirds and the haemadipsid leech Chtonobdella palmyrae (Annelida: Clitellata) inhabiting oceanic islands in the Pacific Ocean. Parasitology, 147(14): 1765–1773.