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昨夜のこと、「港付近に海鳥が」との連絡を受け、駆け付けると、今年何羽目だろう!? と言いたくなるシロハラミズナギドリが待っていました。港湾の強い照明に不時着したもようです。小笠原は、急速に梅雨開けにむかっている気配です。今年は、いろいろな気がかりがあるので、出来る限り太平洋上に梅雨前線がとどまればよいなぁ などと考えていましたが、うらはらに例年にない、早い梅雨開け、逆に内地には梅雨入りになりそうです。保護の翌日、梅雨開けを感じさせる海空へ、元気にシロハラは飛んでいきました。

thanks MIYUKOさん

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毎年、5月の連休頃から梅雨開け頃までは、イソヒヨドリのヒナが、あちこち、ピョコピョコ動き回る季節です。ちっちゃな羽根が生えてきて、親の姿を追いかけて巣からポーンと飛び出してしまいます。地面をよちよち移動する姿は、あぶなっかしく、思わず「拾ってきた」ということがおきるのも、この時期です。しかし、これは鳥と生まれた宿命で、この時期を生き延びてこそ、みな成鳥になっていくのです。親鳥は、補助輪付きの自転車で行動半径を拡げた人間の子供のごとく、ちゃんとヒナの動きを認識していて、ヒナの居場所に餌を運び続けます。ヒナはまだまだ小さいので、一日に何度も何度も給餌を受ける必要があるのです。さて、そんな時、ヒナの近くに人が現れると、親鳥には脅威となって子供に近づけません。親鳥は多くの場合、人が気付かない高台や、遠くの電線に退いて、様子をうかがっています。この時期、動きまわる鳥のヒナを見つけたら、すぐにその場を立ち去ることが、その鳥を助けることになるのです。この時期の保護は、「誤保護」や「誘拐」と言われるのは、このためです。どうしても気になる時には、近くの木に乗せてやり、すみやかに その場を離れましょう。(広場で子供達が遊んでいて芝地でヒナを見つけたような場合には、大人が木の上にのせてから、ヒナのいない側に子供達と移動して、遊べれば理想的です。)もちろん、怪我をしている場合、ハプニングで巣が落下した場合、交通事故やネコによる捕食の危険がある場合などは、ご連絡くださいませ。この時には、どこに巣があったか、どこで保護したのか、という正確な場所も控えてください。野生に戻すために不可欠な情報になります。野鳥一般に言えることですが、警戒心の薄い小笠原の鳥では、とくに「人が接近しても大丈夫」と思い込みがちですが、実は、人がいる のと いない のとでは、鳥の行動は大きく変わります。とくに子育てなどの繁殖時期は、信じられないほどナーバスになり、影響は生死に直結することもあります。そして、大概、人はこの変化に気づきません。近づかないで守る、ちっちゃな島で野生と共生する上で、大切なテクニックです。

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シロハラミズナギドリのラッシュです。すでに梅雨入りしている小笠原ですが、今日は梅雨の中休みとなりました。このコーナーでも書いたように、小笠原諸島内で現在確認されているシロハラミズナギドリの繁殖地は、南硫黄島のみです。今は、まさに産卵時期のはずです。そう言えば、Bonin Petrelの英名を持つこの海鳥ですが、返還前の米軍統治時代には「ウィロ(ゥ)ウィロ(ゥ)」とも、呼ばれていたそうです。響きのあるいい名前です。

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聟島列島では、アホウドリの人工繁殖地をつくる取り組みが続いています。伊豆鳥島を舞台にした、奇跡の復活といわれるアホウドリの保護研究の取り組みを受け継ぎ、火山島である鳥島と国際紛争の場である尖閣諸島のみで繁殖するこの鳥の未来を確保するために、第3の安全な繁殖地を人為的につくる必要性が生じ、かつての繁殖地である小笠原諸島に白羽の矢がたちました。小笠原自然文化研究所(IBO)は創設から5〜6年の期間、2000年に飛来を開始した1羽のアホウドリをモニターし、また、すでに繁殖しているクロアシアホウドリや、コアホウドリの生息状況の情報を、リカバリーチームに提供するなど、小笠原諸島のアホウドリの復活のための下地づくりに駆け回りました。戻ってきた1羽から、もう一度アホウドリのいる小笠原の夢の実現をーーと開催した 最初の企画展は、いまから10年以上前のこととなりました。「繁殖地形成プロジェクトを実行する場合に、荷揚げはどうなるか、滞在はどうなるか、人やヒナやデコイの非常時の緊急避難はどうなるか」などを、ひとつひとつの島ごとに細かく検討したことが、懐かしく思い出されます。鳥島から輸送した後、人工飼育したヒナの巣立ちや、巣立った鳥の回帰など、すばらしいニュースが続く、アホウドリプロジェクト http://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/albatross/ahou_mokuji.html。
回帰個体の繁殖という夢の実現を期待し、陰ながら応援したいと思います。
さて、IBOでは現在も、先輩の2種、クロアシアホウドリとコアホウドリの生息調査を継続しています(東京都小笠原支庁との協力事業)。とくに、コアホウドリと聟島鳥島や、新規拡大している島々のクロアシアホウドリには、カラーリングを装着し、その動向をモニターしています。

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春になり、ミズナギドリ類の不時着鳥の保護が続くなか、とてもとてもレアな海鳥の保護がありました。クロウミツバメです。海鳥類は、海洋の広い範囲に生息していますが(生息分布)、繁殖地も広域な島々にまたがっている場合がふつうです(繁殖分布)。しかし、このクロウミツバメは、小笠原諸島以外での繁殖が確認されていません。海鳥では珍しい小笠原固有種なのです。この時期、小笠原諸島海域では、形態が良く似たオーストンウミツバメも観ることができますが、クロウミツバメの特徴である初列風切の羽軸の白がよく目立ちます。