最新情報

Picture

Picture

戻る前に、翼を力強くバサバザ。
ウォーミングアップのオナガミズナギドリ。
ほとんど日焼けしていない羽色 グレーが鮮やか。

ご無沙汰してしまいました。11月後半より、今年もオナガミズナギドリの巣立ちシーズンを迎えました。年により、集中型、バラケ型など変化がありますが、今年はややバラケており、かつ、時期も後ろに遅れ気味のようです。さて、このオナガミズナギドリ、過去の巣立ち鳥の不時着事例の解析と、父島列島最大の繁殖地となっている南島における約10年間の調査から、かなり絞り込んだ、巣立ちの予測が出来るようになりました。くわえて、これまでの不時着鳥の回収内容から、保護にもっとも有効なのは、飛来直後、つまり夜のうちに積極的に回収して翌日放鳥する のが一番であることもわかってきました。
このようなことからIBOでは、数年前より繁殖地で十分な準備が出来ていること(=ほとんどの雛鳥において、巣立に十分なサイズ、部位の成長が見られること)、過去の不時着回収の経験値からの気象予測、この両者の組み合わせから、「いよいよ今夜から巣立ち=夜間不時着が始まるかもしれない!」というオナガミズナギドリ警報!?を島内に流し、夜間パトロールも実施する(誘引効果の高いと思われる人工照明を重点的にする)を開始しました。これにより15年前までは、ふつうにみられた 朝の交通事故や、犬ネコに襲撃された死体の回収が激減してきました。
以前も書きましたが、無人島の調査経験から、巣立ち直後の不時着というのは、ごくふつうの出来事だと思われます(朝までに、みな海岸から去って行きます。もしかしたら、巣立ち鳥の学習に必要である可能性すらあるかもしれません)。 ところが、父島や母島では人間活動による人工照明があり、これにより、光に集まる習性を持つミズナギドリの誘引効果が更に高まり、かつ不時着後は、ネコ、交通事故の危険にさらされるわけです。自然の摂理とは、呼べない有人島特有の人為影響。たとえば、地球や生き物に優しい時代といいますが、日進月歩の省エネルギーの大光量ライトでも、海鳥に優しいわけではなさそうです。この時期の、省光量化や、海鳥巣立ち警報、夜間回収(海鳥探しWALK週間なんかも楽しいかもしれない)などが、 海鳥たちの大繁殖地とともに暮らす小笠原の知恵として、暮らしの中に根付いてほしいものです。

Picture

連日です。町中からHELPの電話。小さな父島、町はだいたい海のすぐそば。到着すると、右翼付近を大きく負傷したムナグロが道の上に倒れ込んでいました。出血が激しく、反応のとてもはやい小笠原のアリ達がすでに列をつくっていました。右翼つけね付近は、複数箇所に傷があり、右脇腹にはネコと思われる爪で押さえ込まれた痕跡がありました。主に集落地域で回収される傷病鳥獣のうち、約10%程度がネコの襲撃によるものです。傷からばい菌が入ったり、爪が背中から急所に届いていたりと、保護された場合にも、その後、野生復帰できたケースは、ほとんどありません。このムナグロも残念ならが死んでしまいました。さて、かつて、奥村や洲崎に大きな干潟あった時代、そこには今からは想像もできない程の、旅鳥たちが訪れていたはずです。そして、そこでは限定的ながら循環的な生物のつながり、物質のうけわたしがあったのではないかと、想像されます。今では訪れる鳥たちの数は減り、代替的に奥村グランドや自衛隊グランドが使われて、ネコとの遭遇率も自然とあがっているのでは? そう空想する事があります。今朝のムナグロが確かにいた証は、今となっては回収箱に残った血痕と、少し抜けた羽毛と、フンの跡。訪れていた沢山旅鳥達のフンの行方は・・・・。あっという間に動かなくなってしまったムナグロを手に、考えさせられた朝でした。

Thanks Monde san

Picture

1日に保護されたアナドリ。海へ戻っていきました。小笠原は大きくまとまった雲がかかり、けっこうな雨が続いています。今日は、ひさしぶりの気がする晴れ間。長持ちしない予報になっていますが・・・さて、どうなりますか。夏繁殖のアナドリの巣立ちまっ盛り。小笠原のおそい夏も、ようやく過ぎていきます。

Thanks Tomoko_san Sea-Tac

Picture

季節柄・・? 早い更新が続いています。先日、台風12号通過後の海鳥センサスに行きました。夏繁殖のアナドリの巣立ちと重なるこの時期、先日書いたように、海鳥の繁殖規模に異変があった可能性の高い今年。自然の摂理とは理解しながら、1羽でも多く、乗り越えろよ! と、内心つぶやきながらの調査行きでした。さて、南島では「ところ」により明らかな運・不運が見られました。例年繁殖成功率の高いブロックで、営巣環境の崩壊などがあり、いつも風当たりが強いところで多くのヒナが生き残っていました。父島の中も同様で、局所的な大きな被害と、風がまるで通らなかったのでは?(風が風を防ぐ、偶然の風防が発生したのかもしれません)と思うような ところと、ずいぶんとかわった台風だったように思います。直撃と言える距離だったので、風向が時間により変わり続けたことも関係が深いと思われます。さて、長くなりました、台風をのりきってか、最中にとばされたか、そんなアナドリが運ばれてきました。羽色、太り具合などから、巣立ち直後の鳥に間違いなさそうです。さて、巣立ち時期の保護鳥は、回復率が大変に低く、本来自然においても、巣立ち期は、自然脱落の大きな関門です。これらの海鳥をレスキューする理由を考えるには、実は、大きな時間軸を持って、過去から遡り、現在を見る必要があります。このあたりのお話も、近々してみまししょう(さて、いつになることやら)