最新情報

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いま話題のコハクチョウ

引き続き、2005-06年の小笠原コハクチョウの観察記録(搬送まで)を御紹介します。
・2005年12月23日
・2006年1月1日
母島沖港で元日の湾内を4羽が飛ぶ(1羽首部がグレーの若い個体交じる)お正月には南島や、父島八瀬川でもまとまって飛翔する3〜4羽が確認される。この頃、コハクチョウと確認。(自然文化研より、餌遣り自粛を個人的に発信) 正月休み開け前後には、母島で2羽になる(2羽行方不明)。母島内の複数ヶ所の行き来が確認される。父島では、西町に1羽がいつく。少なくとも、この3羽は、顔写真のアップから2002年個体でないことは判明。内地への南下群れ同様、今年の寒さのせいだろう。
・1月13日 父島の1羽が西町から扇浦へ定位置移動。
・1月14日 母島元地の川底で動けない1羽を保護するも1時間程度で死亡。栄養失調による衰弱。残りの母島個体の餌遣り依存は強くなる。このころから都で捕獲の検討が開始される。
・1月24日 母島の2羽が、父島奥村に飛来。同日より不特定多数の島民の餌遣りはじまる。朝方飛ぶが奥村を基点にする。完全給餌依存状態。一方で、扇浦の個体は、自力採餌継続。
・1月26日夜 小笠原支庁により奥村のハクチョウ2羽を捕獲 保健所犬舎に入れる。当研究所では捕獲及び島内の一時飼育に協力。捕獲時の体重、成鳥4.4kg、亜成鳥3.4kg。コハク生存のボーダーライン4.Okgはクリアしているが、標準体重5〜6kgより低い。外部所見では問題ないが、パンに固執する。「オオパンクイ」と命名!??
・1月30日 父島発のおがさわら丸にて東京都が搬送

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2006年元旦 青空に舞うコハクチョウ

すでに、新聞、テレビ等でご存知の方も多いと思いますが、年末年始より小笠原をにぎわせていたコハクチョウのうちの2羽が、先日父島より都内の動物飼育施設に搬入されました。昨年末のそれらしき十数羽の目撃から始まり、お正月には4羽が母島海開きの上空を賑わせ、さらに、南島、父島などでも目撃が相次ぎました。ここでは、何回かに分けて、2005-06年の小笠原のハクチョウ飛来の顛末をお届けしようと思います。まずは、お正月の母島元地上空を飛んだ4羽の勇姿から。

写真提供:大河内勇さん 上記情報THANKS:J.Andoさん、Uemuraさん、Chikira氏、KAORIさん、Yukiちゃん、マッチ、かねちゃん、母島観光協会、一木氏、H.SAITOさん、SAKAMOTO氏、NAGAHORI氏、ほか

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本年もどうぞよろしくお願いします

旧年中は、小笠原の野生鳥獣保護のために、島内外の多くの皆様にご理解ご協力を頂きまして、まことにありがとうごさいました。おかげさまで、多くの野生鳥獣を救うことができました。大・大・大感謝であります。また、思いがけず、人との軋轢の中で、本来の島の自然にはないはずの負傷・死にあっている多くの小笠原の野生動物の姿も見えてきました。この小さな島々を舞台にして、ともに生きる未来があるように。本年もみなさまのご理解・ご協力をお願いいたします。

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元気に飛び立つオナガミズナギドリ

11月20日頃より始まった、今年のオナガミズナギドリの巣立ちも、そろそろお終いのようです。島の方々のご協力により、父島では約30羽の巣立ち鳥が保護され、3羽を除いて無事に野生復帰しました。死亡の内訳は、人工建造物衝突2羽、交通事故1羽でした。昨年度よりはじめた夜間パトロールと、夜のうちに不時着鳥を保護してくれる人が増えたために、驚くほど交通事故が減りました。例年この時期には、清瀬交差点、生協前、福祉センター&三角広場付近、奥村グランドトイレ前などの路上で、哀れな交通事故死体が見られていたのですが、今年、路上で潰れているものは見ませんでした。また、早期回収はネコ害も減らしました。3羽は、まさにネコに狙われているところを保護されました。父島全体では、恐らくi-Boで把握している2〜3倍以上の不時着があったものと予想されますが、少なくとも集落地域におけるオナガミズナギドリ巣立ち鳥の人為的事故を減らせたことは、大きな成果です。なお、この期間、父島の国立天文台VERA小笠原観測局のパラボラアンテナ照明及び、小笠原ビジターセンターの外灯において、光による海鳥の誘引を防ぐために、ライトダウン等のご協力を頂きました。大感謝です。どうもありがとうございました。地味ながら、野生動物との共存とは、こんな小さな生活上の工夫や取り組みの積み重ねが必要なのではないか、と思います。
ご協力頂いた島のみなさま、まことにありがとうございました。

●回収協力:KOTARO&CHIKAKO、PAPAYA、小笠原海洋センター、小笠原水産センター、Solmar、WEST、小笠原父島漁協、さなえちゃん、YATSUKAさん、YUKINO&NORIさん、太田さん、K.WADA、キャベツビーチ、中野さん、ウォーキング中ののどなたか、横山さん、はるみさん、MOCHIKENさん、城本さん、千喜良さん、玉田さん、紀さん、ほか沢山の方々、
●チラシ掲示協力:たらふく、ふくちゃん、マルヒ、小祝商店、RAO、KAIZIN、Solmar、悠々、海遊、パパイアマート、PAPA’S、小笠原島農協、沖山酒店、ビーチコマ、小笠原島生協、小笠原父島漁協、父島分遣隊、小笠原小&中学校、小笠原警察、小笠原観光協会、OWA、東京電力、BIO、小笠原水産センター、NACS-J-O、小笠原野生生物研究会、小笠原支庁産業課

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ライトアップされた壁面に激突・落下し、
脳震盪などで動けないオナガミズナギドリ

さて、今年のオナガミズナギドリの巣立ちは26日頃より今日あたりがピークだったようです。とは言え、まだ12月第1週目くらいまでは不時着は続くと思いますが。当研究所による同種の巣立ち鳥の保護は、今朝までにちょうど20羽を数えました。多くの方の発見通報や、ダンボール収容のお陰で、一昨年まで目に付いた交通事故死体(道路上)や、ネコにやられて尾がとれてしまった重傷個体などを、ほとんど見ずに来ています。これは劇的な変化です! 20羽中激突などにより重傷を負ってしまった3羽を除き、17羽が無事海へ帰りました。このうちの2羽はまさにネコに狙われている最中でした。8月から「せっせ、せっせ」と育てられたヒナ達。自然の要因での死亡は、そのまま野生で生き抜く厳しさと同義ですが、人の生活との軋轢で、命を落とす鳥たちは、1羽でも助けたいものです。