最新情報

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VIPの貫禄?顔アップ

この1月、2月、小笠原は猛烈な時化に断続的に見回れています。先日、海鳥の調査で聟島列島に行った際には、通常3時間の行程を4時間50分かけて帰ってきました。漁船は大揺れを取り越した、キリモミ?、そこまでなると、酔う余裕もない状況となります。そんな大波と空が交互にジェットコースターのように見えるだけの海の上にも、颯爽とクロアシアホウドリが飛んでおりました。海鳥はすごい。漁師もすごい。さて、前回ご紹介した小型ミズナギドリは、未だ種が特定出来ない状況ですが、Puffinus assimilis(和名ヒメミズナギドリ)である可能性がもっとも高そうです。(コセグロは少し古い時代の同学名に宛てられた旧和名でした) ヒメミズナギドリであれば日本では平岡、千葉(1997)以来の2例目となる報告になります。VIPとして、さまざまな詳細な計測を終えましたが、脚力、翼力の低下が見られるため、現在リハビリ中です。青い足、目の上までの白さ、寝るときに足を羽毛の中にしまい込むなど、これまで見てきた小笠原で生息するミズナギドリとは、まるで異なる特徴が沢山ありました。

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保護された小型ミズナギドリ(種不明)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
思えばこのコーナー、毎年お正月には遠路はるばる珍客が訪れてくれています。一昨年はナベヅル、昨年はコハクチョウと、思いがけない鳥たちが話題をさらっていました。
さて、今年こそ、ふつうの年始になりそうだと思った矢先。3日に父島の自動車整備工場の方から「海鳥保護」の連絡がありました。これが、なんと、Puffinus assimilis Little Shearwater(和名コセグロミズナギドリ)である可能性の高い小さな大珍客でした。現在、生息分布地域の研究者に問い合わせ中です。追って詳細はお知らせいたします。

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12月11日に父島集落地で保護されたオナガミズナギドリ

11月末から12月にかけては、小笠原諸島で繁殖するこの海鳥の巣立ち時期であることが、最近の調査でわかってきました。巣立ち鳥には、頭頂、頚まわり、お腹の下など、クチバシが届かない部分に、ヒナの名残の綿毛を残しているものが多いのです。この鳥も見事な?ヒナの証拠を残しています。小笠原で繁殖する中型海鳥としては、最大の規模の繁殖を誇るオナガミズナギドリですが、巣立った後の行動はいまだ多くの謎につつまれています。有人島へは、人工照明に引き寄せられて飛来すると考えられています。

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保護されたレースバト

2004年8月11日に、父島二見港でレースバトが保護されました。これまでも何度かご紹介していますが、小笠原にはドバト(カワラバト)もキジバトもカラスもトビもスズメも生息していません。ですから保護と書きましたが、人為的に放されて迷い込んだレースバトは積極的に捕まえてお帰り頂く「招かざる客」なのです。さらに、今回捕獲したレースバトはなんと西に1000km以上離れた台湾のリングをつけていました。日本以上に台湾ではハトレースが盛んで、ほど近い八重山、沖縄、奄美等ではコースアウト鳥が多く問題になっているようです。ごく最近学会で、台湾レースバトが発生源である可能性の高い住血寄生虫への高率な感染が、沖縄地方のドバトに認められ、さらにこれが希少な野生のカラスバトにまで感染していることが報告されました。小笠原には今、日本で最も野生絶滅に近い位置にいる鳥のひとつと考えられるアカガシラカラスバトがかろうじて生息しています。
このハトは小笠原海運の協力を得て、本土の日本ハトレース協会に引き取られました。

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オナガミズナギドリの保護を呼びかけるポスター

読めるかな? 保護する理由の解説.島内の公官庁はじめ各機関、それに観光協会ご協力で父島の民宿に周知させて頂きました。