筑波大学生「ねこまち」来舎
今年も筑波大学大学院人間総合科学研究科世界遺産専攻の学生が小笠原を訪れました。本来は夏に来島の予定でしたが台風の影響でやむなく中止、クリスマスを返上しての今回の訪問となりました。国際色豊かな7名の学生たちが堀越より「ノネコ捕獲事業」の経緯や現状、新たな課題について30分ほど説明を受けました。世界自然遺産に登録された小笠原を学生たちはどのように感じたでしょうか…。
今年も筑波大学大学院人間総合科学研究科世界遺産専攻の学生が小笠原を訪れました。本来は夏に来島の予定でしたが台風の影響でやむなく中止、クリスマスを返上しての今回の訪問となりました。国際色豊かな7名の学生たちが堀越より「ノネコ捕獲事業」の経緯や現状、新たな課題について30分ほど説明を受けました。世界自然遺産に登録された小笠原を学生たちはどのように感じたでしょうか…。
2008年1月「アカガシラカラスバト保全計画作り国際ワークショップ」を開催。このとき、毎年アカガシラカラスバトを考える日をもとう…と決めましたが、ここ2年はインフルエンザの影響で中止や延期を余儀なくされてきました。この反省を生かし、今年はシーズン初めにあたる12月に開催することに決め、今回も上野動物園より神門英夫氏、多摩動物公園より広瀬 格氏をゲストに迎え講演会を行いました。講演では、この1年間の動物園飼育の取り組みや、現地小笠原では幼鳥“くろぽっぽ”の観察が増えてきているという報告が行われました。またワークショップでの最重要課題であった「ネコ対策」は、この4年間で大きな進展をみせ、父島では次のステージに入ったことを報告しました。
今年も東京都獣医師会による動物医療派遣団7名が来島し、『小笠原動物派遣診療』*が母島で2日間、父島で4日間開催されました。父島母島合わせてネコ65頭、イヌ52頭の受診があり、血液検査をはじめとする健康チェックや飼養に関するアドバイスが行われました。また新しい試みとして、父島保育園やちびっこクラブへの獣医師の訪問も行われました。
4年目となる動物派遣診療は、集落地域におけるネコ対策の節目と位置づけ、事前に飼い主訪問を行い活動への協力と参加を呼びかけてきましたが、飼養登録の届出やマイクロチップ・写真による個体識別、避妊去勢術の実施がほぼ完了しました。次のステージに向けた新たな課題に対しては、飼い主さんを対象にした懇談会や、ネコ連絡会議スタッフと獣医師との意見交換会が行われました。(*小笠原村事業 協力;ネコ連絡会議、OPO、299会)
今年の動物派遣診療にも多くの企業から医療機器や医薬品の無償貸与・提供がありました。
富士フィルムメディカル(株)、フクダエム・イー工業(株)、アコマ医科工業(株)、(株)共同酸素、(株)トップ ブロードケア事業部、(株)キリカン洋行、ムナテックス(株)、日本光電東京(株)、日本全薬工業(株)、ファイザー(株)、森久保薬品(株)、ノバルティス アニマルヘルス(株)、DSファーマアニマルヘルス(株)、野澤先生
皆様ご協力ありがとうございました。
ねこ待合所にて「マイケル」タイルと一緒に
10月14日に開催された「世界自然遺産登録記念式典」に出席するため、東京都獣医師会副会長の小松泰史先生が来島しました。2005年母島南崎で最初に捕獲されたノネコ「マイケル」を受け入れ、『野鳥もネコも救う』方法を提案した先生であり、現在も東京都獣医師会のノネコ受け入れ窓口を担当してもらっています。ノネコ受け入れ事業開始から7年…先生にとっても私たちにとっても念願の来島となりました。滞在中は晴天に恵まれ、「マイケル」の故郷:母島南崎や父島東平をはじめとする山域捕獲現場の視察、ペットの飼い主や関係者との交流会、そして『ねこ待合所』の訪問と精力的に活動されていました。
小笠原の山中で捕獲されたネコたちが『ねこまち』で過ごすのは、短くて5日、船の都合や台風の影響などで長いと1ヶ月を超えることもあります。ノネコたちにとっては『ねこまち』にやってきたときからペットとしての新しい生活がはじまります。馴化訓練は、東京の動物病院に行ってから行われるのですが、『ねこまち』滞在中の短い間にも少しずつ変化を見せはじめます。小さなネコは環境への適応も早く、ケージから出して抱くことができるようになることもあります。また警戒や威嚇が激しいネコも、数日間エサをあげていると容認してくれているな・・と感じる瞬間があります。そんな小さな変化を楽しみながら日々世話をしているのですが、東京への搬送日は寂しさがこみあげます。ようやく『ねこまち』に慣れた頃、25時間以上の船での移動になります。搬送用キャリーに移ったネコたちの表情は再びこわばり、声をかけるたびに涙があふれることもあります。小さなネコや体調が悪かったネコ、よく懐いてくれたネコ・・・東京に到着するまでは心配が続きます。